食品用MRI:Scallop-MRIによる”ほたて貝柱”の評価

Update : 2019.02.24 (13:49:00)

Posted : 2019.02.24 (13:48:54)

 

記事作成 2019-02-24 13:19

 ホタテ貝(スーパーで購入,税込140円)の1H-MRI撮像(in-vivo)を行いました。使用した磁石は0.2T,分光器はMRTe-DTRX6&iPlus,撮像シークエンスは3D-SE-T1W。結果は,予想通りといいますか,水平断層像に貝柱がしっかりと写っています。面白いのは,当たり前といえば当たり前なのですが,垂直断層像の貝柱は,貝殻の内壁にしっかり張り付いているので,両端は少し湾曲平面になっていて高低差もありますね。筋遷移の密度変化も含めて,食品としての貝柱体積評価への課題が見えます。貝のMRI特有の,貝殻からの信号と含まれている不純物の信号歪みも見えています。担当者。

雑感1:ホタテ貝(殻付)は140円/個で販売されていましたが,プラスチックトレーに乗った生食用の貝柱は500円/10個でしたので,50円/柱。計測費用の観点から言えば,このホタテ貝やイワガキのような開ければわかる類の食品は,高額なMRI計測と親和性が出しづらいと思えます。季節性もありますし。大きな身を確認した後に出荷するというブランド化のツールとして期待が掛かるわけですが,漁協と物理工学の間に距離がありすぎますね。実際,青森県,北海道は遠い。

雑感2:以前から申し上げているのは,MRIで検査した後,出荷に充分な大きさに達していない海産物は,無傷のままで海に戻すことができれば,非侵襲計測MRIの真骨頂だと思います。でも残念ながらカキ類は,海中の足場を剥がされてしまうと,生きていけないそうです。ホタテ貝の定期健診ならば上手くいくかもしれませんね。