HDDのデータ消去;静磁場印加による実験

Update : 2009.06.19 (23:41:24)

Posted : 2009.06.19 (23:41:24)

古いノートPCを廃棄しようとして、HDDが出てきましたので、前からやってみたいと思っていた実験を行いました。
BLOG1842_HDD_magnet.JPG
・実験;静磁場(0.12Tから1.0T)の印加により、HDD(2.5inch)のデータは消去できるか?
・用いたHDD;HITACHI:DK23CA-20、1個。数年間NECのノートPCで使用しデータ内包。
・用いた静磁場;0.12T,0.2T,0.3T,1.0T(1Teslaは10000Gauss。地磁気は0.5Gauss)
・方法;HDDの回転軸を静磁場に垂直な方向で、HDDを磁場中心に10秒ほど固定。
    その後に、USBのHDDケースにHDDを入れて、PCからディレクトリ
    構造やファイルを開くことができるかをチェック。
    すべてのデータが読めるかどうかまでは確認しない。
・結果;0.12T,0.2T,および0.3Tの印加後でも、HDDのディレクトリ構造は普通に
    確認でき、PDFファイルなども無事に開くことができた。
    HDDを1.0Tへ曝そうとしたときに、「コキッ」という音が鳴り、明らかに
    内部で何かが動いたようなメカニカルな響きがあった。角度を変えると
    また「コキッ」というような音が鳴るポイントがあった。再現性あり。
    おそらくHDD内部の、プローブの部分が折れ曲がったのであろう。
    この1.0Tの印加後では、明らかにHDDの回転音がおかしくなり、普通に
    故障したHDDでしばしば聞かれるような音がまさにカシャカシャカサカサ
    となった。当然のごとく、ディレクトリ構造およびデータを見ることすら
    できなかった。ただし、HDDプラッタ上に残っているデータまで破壊され
    たかどうかは分からなかった。
・考察;HDDは、0.3Tまでの印加で故障することはなかった。また、すべての場合
    においてHDDの部品が磁場に吸引されているような感じはあった。特に1.0Tesla
    では、HDDを磁場中で支えるのが少し困難なほどのトルクが感じられた。
    1.0Tの磁場の印加でも、HDDのデータが失われたかどうかは疑問である。
    これ以上の磁場を印加すればデータは消去できるかもしれないが、明らかに
    力学的な危険が発生するのでお勧めすることはできない。
BLOG1845_HDD_drill.JPG
・まとめ;静磁場印加によるHDDデータの消去は、実際に用いることのできる簡便な
     磁場と安全性の兼ね合いを考慮すると、実施しやすいとは言えない結果と
     なった。特にHDDのプラッタ上に残っているデータは、室温での静磁場
     の印加(1Tesla以下)だけでは消去できない可能性が十分に残った。
     廃棄前には、ボール盤で穴をあけておくことなどが、現実的な破壊方法
     であろう。ショッキングな画像?で失礼いたしました。